夢の国

「10日、何してますか?」

後輩の女の子から連絡が入った。

 

「仕事の予定がちょっとわからないけど、プライベートは完全に白紙だよ。」

と返した。

 

するとこんな返事が。

 

「もし時間あったら、夢の国行きませんか?」

 

こんな素敵な誘い方があるだろうか?

可愛すぎる。

女の子に誘わせるなんて男としてどうかとも思うが、胸が踊る誘い方だな、と思った。

 

実は、ディズニーランドには15年行っていない。

15年前に中学の卒業イベントで行って以来だ。

その時でさえ、遊ぶ時間が3時間しかなく、なんならと鬼ごっこをして終わっている。

 

きっちり乗り物に乗って遊んだのは今から18年前になる。

 

そんな俺は、ディズニーランドのハードルが完全に上がりきった状態なのだ。

テーマパークというものに近年行っていなかった。

その点からも、ディズニーランドは行きたくてしょうがなかった。

 

仕事も休みだったので、一緒に行ってもらう事にした。

相手はディズニーランドマスターだ。

もはやジェダイ

俺も15年前のディズニーランドならヨーダクラスであったが、今となってはである。

そこで、様変わりしているディズニーランドをエスコートしてもらう事にした。

オススメの楽しみ方を教えてもらう事にした。

楽しみだ、楽しみでしょうがない。

 

 

しかし前日、行くか迷う事態に直面する。

 

冬将軍凱旋。

最高気温6℃

雨。

調子が良ければ雪。

 

ピンポイントでその日のみ激寒。

4月のくせに。

 

流石にやめようかとも思ったが、この募る想いは殺せなかった。

もう俺のつま先はずっと千葉を指している。

とりあえず

舞浜駅まで様子を見させてくれ」

という訳のわからない約束をし、当日を迎える。

 

➖➖当日➖➖

朝から電車がスベっている。

全体的な遅延で全体的に遅れたので全体的に遅刻した。

ダメ人間の真骨頂を発揮している。

 

結果、約束の20分遅れで舞浜に到着。

昔デートに2時間遅刻した時のことを思い出す。トラウマ。

 

「雪なら逆にレア」的マインドで臨んだものの、舞浜は今日も雨だった。

雨だったが、結局行くことにした。

だって来たんだもん。

 

普通にチケットを買い、普通に入った。

テンションだけが普通ではない。

 

とても【30歳男性】のテンションではなかった。

跳ねて喜んでいる。

気持ちが悪い。

 

キッチリ雨が降る中、とりあえずパーク内を歩く。

スペースマウンテンのファストパスを取る。

ファストパスも進化している。

いちいち15年の進化を体感して行くことになる。

 

もはや無いアトラクションもあり、困惑しながらも、『復帰一発目を何に捧げるか問題』が勃発。

結果、イッツ・ア・スモールワールドに決定。

様変わりっぷりに

うわぁ!

しか声の出ない中年のおじさん。

気持ちが悪い。

 

今回、何が凄いかというと、ほぼ全てのアトラクションが待ち時間ナシな事。

雨、激寒、平日、という事もあり、めちゃめちゃ空いている。

結果的に3大マウンテンの待ち時間はトータルで15分だ。

こんな事が有り得るのか、いや、アリエルのかと驚いたものだ。

入り口から乗るまでの道を歩くだけだった。

待ってない。待ってないのよ。

奇跡的な空きっぷりだった。

5分待ちと書いてあるアトラクションは『並び始めの場所からアトラクションが終わるまで』が5分じゃないか説が浮上。

今度水曜日のダウンタウンに持っていくことにする。

 

あと、中学生全然傘ささない。

ストロングスタイルすぎる。

 

なんやかんや乗り物に乗っていき、ファストパスのスペースマウンテンに。

スペースマウンテン、濡れ度、0%

 

スペースマウンテンの記憶は鮮明だ。

昔から大好きだったからだ。

スタートし、坂を登り、銀河が見えた瞬間、感動で泣きそうだった。

「懐かしーい」とシャウトしながら坂の降りに入る。

心が震えた瞬間だった。

この感覚は忘れない気がする。

 

その後も果敢に乗り物にチャレンジしていく。

雨の中のスプラッシュマウンテンは、もはやリアルスプラッシュ。

スプラッシュマウンテン、濡れ度、50%

最後のスプラッシュポイント以外にスプラッシュ感はない。

ただ、雨のおかげで、屋根のない所は常時スプラッシュ。

意外に上が開けている。

雨と、最後のスプラッシュ。

濡れ方が尋常ではなかった。

待ち時間は5分だ。歩いたらついた。

 

さらにハードルを上げ、ビッグサンダーマウンテンにチャレンジする。

ビッグサンダーマウンテン、濡れ度、80%

ほぼ常に天空を見られる状態。

常に雨との勝負だ。

スピードもある。雨が痛い。

待ち時間は5分だ。歩いたらついた。

 

ただ、雨の日じゃないとこんな経験できない、と、逆に雨を楽しむスイッチが入った我々は、ガンガン屋外アトラクションを攻める。

 

結果鬼濡れである。

体温の奪われ方が度を越している。

 

ひとまず室内のアトラクションに切り替える。

「あれ?こんなに速かったっけ?」や、

「あれ?意外とこんなもんだっけか?」みたいなことが続く。

記憶とは曖昧なものですね。

並びがほぼ皆無な今日は、時間を無駄に使うことが許される。

ゲーセンに行って色々やってみたり、食事処でダラダラしてみたり、と、かなりイレギュラーな体験ができた。

占いババアにカードを出してもらった。

まったくディズニーが関係ない感じでビックリしたが、内容は当たっていた。

『あなたは音楽が好きな人が好き、そしてダンスが好き、あなたは衝動的な人で、何か嬉しい事があるとその喜びのあまり感激の声を上げてしまいます』

流石占いババアだ。

先程喜びのあまり感激の声を上げ、飛び跳ねてステップを刻んでいたのは俺だ。

 

ショーやパレードはほぼ無く、それが心残りであったりはするが、とても楽しむことができた。

 

バズ・ライトイヤーで6万点を出して浮かれるものの、対していい結果ではないと知り落胆する30歳男性。

 

スティッチのアトラクションのお客さんと会話するやつに衝撃を受けすぎて、ずっと「えっ?凄くない?…」と呟き、あれぞ『ぽかん』という単語が似合う顔面をしていたに違いない30歳男性。

 

たぶん、ディズニーランドを超楽しんでいたと思う。

だって、はしゃいでるんだから、30歳男性が。

 

最後にシンデレラ城のプロジェクションマッピングを見ている時、今日乗ったアトラクションのハイライトかと思う内容に、勝手にグッと来ていた。

 

ディズニーランド、楽しかった。

次は乗り物に乗らない楽しみ方もしてみたい。

だって今日すげー乗ったから。

あとは単純に晴れて欲しい。寒い。

 

楽しかった、楽しかったな。

 

やっぱり、

エンターテインメントだけが心を救うのだな。

 

想い出は いつの日も 雨

 

 

今日の一曲…

小さな世界/ディズニーランド少年合唱団