帰り道は遠回りしたくなる

帰り道、本屋に寄りたくなって、家に着く前の駅の聖蹟桜ヶ丘で降りた。


本を物色しながら「どれが面白そうかな」なんて考えている時間が結構好きだったりする。


本谷有希子の『静かに、ねぇ、静かに』という作品に惹かれた。
SNS狂想曲という帯に、まんまとやられてしまった。思う壺だ。

 

そこから歩いて帰ろうかと思ったけど、5キロは遠いなぁ、めんどいなぁ、と、持ち前のめんどくさがりを発動させて再び電車へ。
最寄り駅の高幡不動駅の改札を出ようとしたらすぐ気が付いた。


「あ、そういやここにも本屋あるじゃん」


閉店まで居続け、店員に「…そろそろ……」みたいな顔で会釈されたので会計を済ませ、店を後にしようとしたらエスカレーターも止まっていて、あれ?早くない?と感じた瞬間、店内の時計で今が21:23だということを認識し完全なる赤面で21時閉店の店を後にした俺の気持ちは何処へやればいいのか、と思った高幡不動駅改札。

 

家に帰り、部屋に入り、机に置いてあった「また、同じ夢を見ていた」を読み進める。
部屋を暗くし、デスクランプを使って本を読む、結構落ち着くのだ、これが。


しばらくすると、妹が友達を連れて帰って来た。
JDとJKである。

一旦読むのをやめて、ケータイでSNSを見ていたところ、ふと思い出した。SNS狂想曲。
あ、本谷有希子
カバンの中から買って来た本を取り出そうとカバンを開けたその時。

 

ギャラッッシャーーーン

 

暗い部屋でもわかるだいぶヤバめな事が起きた感。
音のすぐ後、結構顔面に何かが当たったな、という感触があった。
俺は175cmだ。ちなみに。


そしてデスクランプに照らされた地面を見ると、粉々になったお気に入りのビンテージ裸電球の上に横たわるiPadが。

なるほど。ここに置いてあったのかiPadよ。

落ちたか。

ガラスは一瞬で4畳の部屋を飛び回り、願いを叶い終えた後のドラゴンボールよろしく、各方面へとバラバラに散っていた。
今日変えたばかりのシーツ、今日付けたばかりの毛布カバー。
ガッツリガラスまみれですわ。
掃除機とコロコロとハンディモップで掃除をすること3時間。
序盤の足の踏み場のなさったらもう…


やっと終焉を迎えるも、布団周り全滅で今日はちょっとガラスと添い寝したくないよ、ということで寝袋を出し他の部屋で寝ることに。


部屋の2m近い棚の段のところにもガラス片が飛んでいて、勢いの良さに驚くとともに、そっち側見てなくてよかったなぁとひしひし感じた。


気付けば深夜3時。失ったものが多いよ…
こうして、私はSNSに頼っている。

本谷有希子よ、もしかして、知ってた?こうなるの。
名曲、生きてることが辛いならを聴きながら寝ます。


今日の一曲…
生きてることが辛いなら/森山直太朗